そもそも、仁義なき戦いって…
1973年から1974年にかけて公開された、東映のヤクザ映画です。
終戦後まもない時期から約20年間に広島で実際に起こった暴力団による抗争事件をモデルとしています。 第一作「仁義なき戦い」から第五作「仁義なき戦い:完結篇」までが作られました。
従来のヤクザ映画とは一線を画す内容
それまでのヤクザ映画は、義理・人情、いわゆる任侠の世界を描いたものでした。
実録、と謳った映画でも、所詮はヤクザを美化して描かれたものがほとんどです。
ところが、このシリーズでは、裏切り、共謀、掟破りなどが日常化した現実の暴力団の世界がリアルに再現されています。
映画内で扱われる事件に関わった当事者の多くが、現実に生きている中で制作された、本当の意味での「実録」モノの先駆的作品でした。
深作欣二監督の斬新な撮影手法、脚本家笠原和夫の綿密な調査、当事者の多くが生きているという現実感、さらには
伸びざかりの若手俳優によるイキイキとした演技など、このシリーズの価値を高めた要因は数多く考えられます。
切った張った、の世界でなく、また、たんなる暴力映画でもなく、戦後から高度成長期に向かう日本社会における一種の群像活劇であるといえます。
多くの人がこの映画に魅かれ、この映画への賛辞はいたるところでなされています。
また、出演した多くの俳優さん達が(主人公でもないのに)自分の代表作であることを公言しています。
この映画がここまで多くの人を魅了しているのはなぜでしょうか…。
なんで、こんなに面白いんだ
・何と言っても、ストーリーが面白すぎ!
現実の抗争事件を題材にしていようといまいと、観てる分には関係ありません(笑)。
何と言っても、そのストーリーが面白いんです。
この人についていこうと決めた親分から嫌われて、命まで狙われる。
信じていた仲間から裏切られる。
自分の力では抗いきれない大きな流れに飲み込まれてしまう。
子分のために、嫌な相手に頭を下げる。
間違った噂を信じて、罪のない人を殺してしまう、…。
ヤクザの世界なんてよくわからないけれど、こんなことって本当にあったら生きていけません。
でも映画の世界だから、楽しめるんですよね。
・とにかく、キャラクターが魅力的すぎ!
現実のモデルがいようといまいと、観てる分には関係ありません(笑)。
とにかく、登場人物の誰もが魅力いっぱいです。
異常なほどお金に執着するオヤジやそれに寄り添うコバンザメ。
いつもは威勢がいいくせに、イザとなったら弱腰。
意味もなくキレて周囲の皆に嫌われる、怖がられる。
裏表が激しい虚勢のかたまりみたいな奴や組織のチカラで無茶をゴリ押しする奴、…。
みんな、悲しいほどズルくて弱くて、でもどこか男らしかったりします。
・圧倒的に、役者さん達がカッコ良すぎ!
定番の菅原文太、梅宮辰夫、松方弘樹、北大路欣也、小林旭。
通ならハマる千葉真一、成田三樹夫、金子信雄、田中邦衛、渡瀬恒彦。
彼ら主演級のスター以外にも、カッコいい俳優がたくさん出ています。そして、みんな若い。
・いやいや、他にもこんな理由が…
いや、あの臨場感あふれるカメラワークがスゴイんだ。
今もいろんなテレビ番組で使われるテーマ音楽を忘れちゃいかんだろ。
梶芽衣子、渚まゆみ、池玲子といった女優陣はどうだ。
複雑な人間関係を紐解いてこそ、本当の魅力が味わえる。
広島弁だからこそ、って意見もあるような…。
面白さの理由は他にもさまざまでしょうが、とにかくそんなわけです。